魂の生命の領域

AWS とか Python とか本読んだ感想とか哲学とか書きます

最近読んだ本

悪霊(上下) / ドストエフスキー

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農奴解放令によって社会の仕組みがガラッと変わってしまった時代のロシアで、無神論や社会主義に傾倒し秘密結社を組織した若者達の破滅を描いた物語です。

悪霊に取り憑かれた豚の群れが湖に飛び込んで死んだという聖書のエピソードになぞらえて『悪霊』と名付けられています。

笠井潔がやたらと言及しているドストエフスキーの『悪霊』です。

埴谷雄高はこれを書きたいと思って『死霊』を書いた、とか笠井潔もこれを書きたいと思って自分なりに表現したのが例の本格探偵小説だ、とか色々言われていたので、読んでみました。

死霊(埴谷雄高)を読んだ時↓ kesumita.hatenablog.com

『死霊』がとにかく抽象的な会話を無限に繰り広げるカオスな物語だったので、それの元祖ということはさぞ高尚な物語なのだろうと思って読み始めました。

ですが、実際に読むと喋り倒すのは確かにそうなのですが、あくまでも物語内での出来事に即した”普通な”会話で、逆に面食らいました。

無神論にハマってある種価値判断の軸を失ってしまい、自分たち(というより自分だけ)の私欲でしか考えなくなった若者達がいわゆる内ゲバの元祖のような状況に陥り、片田舎の平和な街がメチャクチャになっていきます。

登場人物が大量にいるのですが、彼らがそれぞれ特徴的な思想の持ち主・実践者としてひたすらに会話して相互作用を起こし合います。

なんかこう、地の文で小難しいことを言わずに物語内の出来事や人間同士の関わり合いでデッカい絵が頭の中にインストールされてくるような感覚で、これを読むことでしか得られない何かがある気がします。(言語化能力ゼロ)

吸血鬼と精神分析 (創元推理文庫) / 笠井潔

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矢吹駆シリーズ第六作目です。前作のオイディプス症候群が創元推理文庫で出版されてから割とすぐに今回のやつもきましたね。

第一作目から四作目までを読んだ時↓ kesumita.hatenablog.com

第五作目を読んだ時↓ kesumita.hatenablog.com

今回のテーマはタイトルのまま精神分析ということでジャック・ラカンのアレです。

ラカンの話は以前記事に書いた『現代思想入門』と『構造と力』と『知の欺瞞』で得た情報だけしか知りませんでした。

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前作でもなかなか探偵役の矢吹駆は登場しませんでしたが、今作は300ページまで登場しません。

奇数章でパリ警察のモガール(主人公の父親)目線、偶数章で主人公のナディア・モガール目線、という形で進んでいき、最初はお互いの情報も知らない状態で別個に動いていくのですが徐々にそれが交わっていく感じです。

毎週日曜日にパリのどこかで共通点のない若い女性が全身の血を抜かれた状態で見つかる、という三作目の『薔薇の女』みたいなプロットです。

『薔薇の女』は若干低迷した感があると言われており、(私は全然駄作だなんて思いませんが)そこから超大作となる『哲学者の密室』まで10年間作者が探偵小説から離れたと言われている作品ですが、今作はそれのリベンジみたいな意味もあるんですかね?

読み応えは抜群です。

クローズドサークルものとはまた違った難しさ、楽しさがありますね。

プロジェクト・ヘイル・メアリー(上下)/ アンディ・ウィアー

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映画化されたので、公開前に読み切ろうと慌てて読みました。

とにかく事前情報を入れずに読むのが推奨らしいという噂を聞いて、映画の予告編も見ないようにして読みました。

大満足です。映画も後で見にいきました。

表紙イラストは見えているので、そこは触れても大丈夫だと思いますが、主人公が宇宙空間で様々な困難に直面しながらミッション完遂に向けて奮闘する物語です。

主人公は最初記憶喪失なので、何も思い出せないまま身の回りのものを使って自分は何者なのか?自分はどこにいるのか?自分は何をしにここにいるのか?を探します。

だから主人公と同じように我々も極力事前情報を入れない方がいい、という訳ですね。

別に叙述トリックとかそういうのではないです。

物語は基本的に困難に直面 → 仮説 → 検証 → 仮説の修正 → 解決 → また別の問題に直面 → 仮説 →・・・をしつこいくらいに繰り返していくわけですが、そこのスマートさと泥臭さ、ポジティブさや時々あるネガティブさを見ていると、小学生みたいな感想ですが「俺も頑張らなきゃな」という気持ちになれます。

はじめての構造主義 (講談社現代新書 898) / 橋爪 大三郎

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自分はポスト構造主義?からしか知らないので、一応知っておこうと思いました。

構造主義の元祖と言われるレヴィ・ストロースの紹介がメインコンテンツです。

小気味よく読みやすい語り口です。

日本では構造主義によるパラダイムシフトが特にないままポスト構造主義が入ってきた、と言われるらしいです。確かに西洋至上主義というか歴史は一本道で野蛮な未開社会から理性によって統治された西洋近代社会に向かって進歩し、(そしてマルクスによれば労働者が解放される)というストーリーが、構造主義によって崩壊するステップは日本人にとってあんまりピンとこないですよね。

構造主義以降何かと数学とのアナロジーを持ち出したり何もかもが相対的だと言ってみたりする理由がなんとなくわかりました。

これが現象学だ (講談社現代新書 1635) / 谷 徹

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なぜか現象学に興味を持って入門書ばかり読んでいるのですが、自分が最初に読んだ竹田青嗣の解釈は結構独特らしく、それだけに染まってしまうのはなんか怖いなと思ったので違う人の入門書も読んでみました。

ちなみにこの本も竹田青嗣氏は「解釈を間違えている」として『超解読!はじめてのフッサール『現象学の理念』』の中で取り上げていました。

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現象学は自分で考えて記述することが何よりも大事らしいのですが、難しいですね。

単に読書体験として語るならば、目の前にあるものから始まってその中で当たり前に受け入れて背景になってしまっている時間や空間などが自分の中でどのように知覚されているのかをひたすら掘り下げていくのが難しくもあり面白かったです。

アホなのでこの程度のことしか言えないです。

夜の声 (創元推理文庫) / W・H・ホジスン

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海で怪奇現象に遭った、という短編集です。

巨大な石でできた謎の船やカビだらけの船や、謎の生物を進行する島やらがたくさん出てきます。

表題作の『夜の声』が一番気に入っています。

船旅中のある夜に小型の船で近づいてきて食料を求める老人が来るのですが、ライトで照らそうとすると「それはやめてくれ」と頑なに言います。やがてその老人が語ったある島での出来事からその悍ましい理由が・・・みたいな。

あのラブクラフトが影響を受けたということで、読んでみました。

和訳もなかなかセンスがあって良かったです。

PythonでListモナドを実装する(∞番煎じ)

これを読みました。

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初版は誤植が大量にあります。確かに読んでると本文と式(と可換図式)が明かに噛み合ってない箇所がそれなりに頻度で出てきます。

そもそもの数学的な誤りなどは正誤表を見ても「そうなんだ」ぐらいにしか理解できませんでした。

また、それ以外でもフォントの問題でしょうがα(アルファ)とaの違いがマジでわからなかったりと苦労しました。

自分的には第6章「冪:プログラムの本質」と第8章「随伴」と第9章「モナド」が面白かったです。

ですが、自分なりに式変形を追っていくと冪の定義が全部矛盾しているように思えてよくわからなかったです。

しかも誤植じゃないらしい。

わからない。

本題

すいません、Zenn に書いちゃいました。

zenn.dev

zenn.dev

内容の説明が激アッサリなのは、ちゃんと理解できていないことの裏返しですね。

Part 2. の最後に「次は do 記法の再現か?」と書いてますが、どうやらこれはリストモナドに関して言えば Python におけるリスト内包表記そのものになるみたいですね。

Python で再現実装するのも楽しいですが、おそらく真に学びになるのは型ヒントをちゃんと書くことだと思うので、動的型付けの Python で書く意味とは…ってなりそうな気がします。(多分こんな単純な話でもないとは思うのですが)

最近読んだ本

相変わらず小説ばかり読んでいます。

哲学の本も読みたいのですが、バーっと読める小説を挟んでしまいます。

新装版 虚無への供物 上・下 (講談社文庫) / 中井英夫

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三大奇書を読むのは誰しもが憧れることですが、読みました。

ドグラ・マグラは学生時代に読みました。黒死館殺人事件は3分の1ぐらい読んで止まっており、いつか電子書籍じゃなく物理本で買いたいなぁと思っている状態です。

虚無への供物は読みやすいのが特徴らしく、確かに読みやすかったです。

いかにも斜陽にある金持ち一族とその屋敷で起きた密室殺人という、王道 of 王道ミステリーという舞台設定で、主人公たちが密室殺人の推理大会を始めます。

主人公たちが(まるで)探偵小説の登場人物たちかのように密室殺人を楽しんでいる様子を、ある意味で告発?する構造になっています。

それがアンチミステリーたる所以だそうです。

金閣寺 (新潮文庫) / 三島由紀夫

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4月に京都に花見をしに行こうという話になりました。

その候補の一つに金閣寺を考えていて、行くまでに読んでおこうと思って読みました。

弟がファンということもあって、かねてより三島由紀夫を読みたかったのもあります。

結局今年は清水寺に行ったので金閣寺はまだキープ中なのですが…

読んだ感想ですが、めちゃくちゃ良かったです。

「文章が美しい」って具体的になんだろう?と思っていたのですが、読めばわかります。

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いい文章ですねぇって思います。

(出版当時から)オチがわかっているのですが、どうやってその結末に至るのかを追っていく物語です。

アホなので、なんとなく主人公の溝口がちいかわ、親友の一人である鶴川がハチワレ、だと思って読んでました。

もう一人の友人の柏木はモモンガでしょうか?うさぎではないと思います。

おすすめです。

ハサミ男 (講談社文庫) / 殊能 将之

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ネタバレ厳禁系で有名なやつです。

硬質で乾いた文章で、分厚さの割に気がついたら読破してしまいます。

ネタバレに言及してしまいそうなので、本書の感想はこれだけにしておきます。

新装版 匣の中の失楽 (講談社文庫 た 27-4) / 竹本 健治

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『虚無への供物』のフォロワーというかオマージュというかトリビュート的な作品です。

すでに述べたように『虚無』は三大奇書の一つと言われますが、本書を併せて四大奇書と呼ぶ動きもあるのだそうです。

じゃあ読むしかないでしょと思って読みました。

確かに『虚無』へのリスペクトはビンビンに感じましたが、それ以上に『三大』の全部の要素を詰め込んでる感じがあって良かったです。

現実と入れ子になったような作中作や衒学チックな記号や暗号へのこだわりとか。

文庫本だとレンガみたいに分厚いですが、ガンガン読めます。

作者が22歳の時に書いたと知ってビックリです。

ちょっと背伸びした言い回しや漢字の当て方に若さを感じます。でも嫌味な感じは全然ないです。