魂の生命の領域

AWS とか Python とか本読んだ感想とか哲学とか書きます

Python の bool 型でインチキ哲学を構成する

Python における bool 型は、int 型のサブクラスらしい。

ブール値 (bool)

真偽値の False と True を表します。False と True を表す 2 つのオブジェクトのみがブール値オブジェクトです。ブール型は整数型の派生型であり、ほとんどの状況でそれぞれ 0 と 1 のように振る舞いますが、例外として文字列に変換されたときはそれぞれ "False" および "True" という文字列が返されます。

docs.python.org

だから bool 型どうしで四則演算ができる。

>>> True + True
2
>>> True + False
1
>>> True - True
0
>>> True * False
0

bool 型と int 型でも計算できる。

>>> 1 + True
2
>>> 5 * True
5
>>> True * 5
5

だいぶ奇妙な感じになって来た。

割り算をするともはや int 型ですらなくなる。

>>> True /2
0.5

ここから == を使って遊びたいが、混乱するかもしれないので一つだけポイントを復習しておく。

普段 == は if 文のところで書く。

>>> if 3 % 2 == 1:
...     print("yeah")
...
yeah

左辺ないし右辺がそれ単体で True と等価なオブジェクトの場合は右辺(あるいは左辺)を省略することもある。

>>> if 3 % 2:
...     print("yeah")
...
yeah

str 型は、空でないものは全部 True と等価なのでこうなる。

>>> if "hoge":
...     print("yeah")
...
yeah

こうではない。

>>> if "hoge" == True:
...     print("yeah")
...
>>>

こう言うことでもない。

>>> if "hoge" is True:
...     print("yeah")
...
<stdin>:1: SyntaxWarning: "is" with a literal. Did you mean "=="?

こうだったら良い。(ダサいので誰もやらないけど)

>>> if bool("hoge") == True:
...     print("yeah")
...
yeah

要するにこういうこと。

>>> "hoge" == True
False
>>> bool("hoge") == True
True

以上を踏まえた上で、 True や False を使って変な式を作り、だり〜(ダルい)考察勢みたいな不必要な解釈を加えたい。

真実について

1. 真実に嘘を付け加えても真実

>>> True + False == True
True

2. 真実から真実を取り去るともはや嘘

>>> True - True == False
True

3. 真実に真実を付け加えると、嘘。(真実はいつも一つ!?)

>>> True + True == True
False

4. 真実を半分にすると、嘘。

>>> True / 2 == True
False

5. 真実を嘘で分割すると世界が崩壊する

>>> True / False
Traceback (most recent call last):
  File "<stdin>", line 1, in <module>
ZeroDivisionError: division by zero

6. 真実の肩に嘘を乗っけても真実

>>> True ** False == True
True

7. 嘘の肩に嘘を乗っけてると、もはや真実

>>> False ** False == True
True

まとめ

つまんね〜〜〜〜〜〜〜〜

LIMIT を読んだ

著者はドイツ人作家フランク・シェッツィング、原著が2009年で邦訳が2010年の近未来SF小説です。超大作。

bookmeter.com

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600P x 4の超大ボリューム。分厚い。

当たり前のように「自立」する

あらすじ

宇宙エレベータから月面基地、ヘリウム3採掘設備と核融合炉を成功させた巨大企業オルレイ・エンタプライジズのトップである世界一の富豪、ジュリアン・オルレイが、世界中から厳選したエグゼクティブを二週間の月面旅行に連れて行きます。

月面には月面ホテルがあり、いずれは民間人も宿泊できることを目指していますが、まずはプレオープン的な感じです。

一方、上海でサイバー犯罪を専門とする探偵のオーウェンジェリコが中国の反体制運動に関わっている娘が失踪したので探してくれ、という依頼を受けます。

また、カナダでは環境保護関連の取材をするジャーナリストのロレーナ・ケオワが、石油会社の幹部ジェラルド・パルスタインが暗殺未遂にあった事件を調査します。

読むまで

あとで説明するように13年来の積読、という性質を持つため、ここに至るまでの経緯をちょっと長く語ります。

2008年だか2009年だかに、著者フランク・シェッツィングの前作「深海のYrr」を読みました。

その数年前、ダ・ヴィンチ・コードがかなり話題になりました。

私も大ハマりし、著者ダン・ブラウンの作品を全部3周ぐらい読んで、次回作はまだかとずっと待っている状況でした。

当時は作風を真似た小説がたくさん出て、話題になっているものはだいたい読みました。(だいたいハズレだった)

その中で、「ドイツでダ・ヴィンチ・コード超え!」みたいな広告を見てこれはと思い本屋に観に行くと、600ページぐらいの露骨に分厚い本で上中下巻というボリューム感でこりゃあ楽しめるぞと買った小説がありました。

それが深海のYrrです。

実際にその分量通りの壮大なスケール、そして同時に個々人の内面の掘り下げも惜しげもなくぶちこんでくるミクロとマクロ全てを描き尽くす作風が特徴ですね。

登場人物があまりにも多く、巻頭に毎回人物のリストが書かれています。(助かる)

また科学的な面での正確性の取材がしっかりなされている(であろう)詳細な描写も大きな特徴です。

ちなみに当時から映画化の話はありましたが十数年越しにhuluでドラマ化されているらしいです。キムタクも出てるらしいですね。

www.banger.jp

ちょうどLIMITの1巻を読み終えるぐらいのタイミングで偶然ニュースを見かけました。本当に偶然です。運命感じますよね?

で、その作者の次回作が今回紹介するLIMITで2010年に日本では発売されました。

今回は600ページの全4巻でもほや上中下という分け方すらも超えてしまった様子や、そのあらすじの「宇宙エレベータ」「月面基地」「ヘリウム3」「核融合」をみてウッキウキで購入しました。

しかし当時は高校3年生で大学受験を控えており、読むのは終わってからにしようと積んでいました。

そして大学に入学できたのですが、読む習慣がなくなってしまいました。

これまで、通学の電車が1時間以上あったのでそこで本を読んでいたのですが、大学の近くに引っ越したためその時間がなくなってしまったのが原因です。

それ以来、他の小説を読んだりはちょくちょくあったのですがこのLIMITだけはずっと放置しており気がつけば13年が経っていました。

それが、この間読書メーターのアカウントを作成して積読の棚卸したときにまた存在を意識し始め、また読みたくなった、という感じです。(実はどこかの時点で最初の200ページだけ読んでいた)

今読んだ、ということ

小説の舞台は2025年で、執筆当時は2009年なので「15年後の世界」が描かれているわけですが、気がつけば今2023年です。

物語の中では、普及はしておらずまだ一点物ではあるものの宇宙エレベータが実用化され、その終着点にある巨大な宇宙ステーションからは月へのシャトルが発着しています。

月面にはアメリカや中国の基地があり、そこでヘリウム3の採掘を行っています。宇宙エレベータでは人だけでなくそのヘリウム3も運搬しているわけです。

そして、そのヘリウム3を使った核融合発電も実用化され、それにより「まだ枯渇していないにも関わらず」化石燃料の需要が急減している世の中が描かれています。

また、これらの技術革新はすべて民間企業が主体で行なっており、国主導の宇宙開発はもう限界がきている状況も描かれています。

宇宙エレベータの話は出版当時ほどは聞かなくなりましたが、中国の台頭や民間企業による宇宙開発など、当時はまだあまり意識されてこなかった今見れば「予言」のような描写もあります。

VRやAIのコンシェルジュ?みたいなのは作品内の扱いだけ取り出すとSFそのものでしたが、元にVRはゲームで普及していますしChatGPTを筆頭に「AI」というものももうほとんど現実です。

その一方で移動手段は相変わらず車・電車・飛行機・船で、宇宙エレベータはもちろんのこと空飛ぶ車も実用化されていません。

(追記)ちなみにググったらこんな記事が出てきました。2007年の記事です。

wired.jp

中身の話

お話の構成としては、主に3つの舞台があります。

まずは民間企業で宇宙エレベータから月面基地、ヘリウム3採掘設備と核融合炉を成功させた巨大企業オルレイ・エンタプライジズのトップ、ジュリアン・オルレイが世界中から厳選したエグゼクティブを二週間の月面旅行に連れて行きます。

月面には月面ホテルがあり、いずれは民間人も宿泊できることを目指していますが、まずはプレオープン的な感じです。

世界中の金持ちを招待したのは、出資を決意させるためです。そのために世界一の富豪であるジュリアン・オルレイ自らが同行するわけです。

それと並行して、上海でサイバー犯罪を専門とする探偵のオーウェンジェリコが中国の反体制運動に関わっている娘、瑶瑶が失踪したので探してくれ、という依頼を受けます。

さらにまた別で、カナダでは環境保護関連の取材をするジャーナリスト?のロレーナ・ケオワが、石油会社の幹部ジェラルド・パルスタインが暗殺未遂にあった事件を調査します。

それぞれの舞台での話の進展や、この3つのお話がどう繋がっていくのか?というところに注目して読み進めていくことになります。

月面ツアー組は宇宙エレベータの地上施設がある赤道近くのラス・エストレージャス島に集まり、そこにあるホテルで歓迎されます。(金持ちなので)

そこから宇宙エレベータで宇宙ステーションへ行き、そこで一晩過ごしたあとにシャトルで月に行き、月面ホテルに宿泊しながらもヘリウム採掘施設などを見学するという行程に沿って進んでいきます。

宇宙エレベータに併設されたホテルや、宇宙ステーション、月面ホテルなど、ゆくゆくは民間人も宇宙旅行できるようにしたいという意図で開発がなされている点も注目ですよね。

一方、上海で行方をくらました瑶瑶を探すジェリコ編はいかにもなサイバーパンクといった感じですがそれを東京ではなく上海でやっている点はやはり時代を感じますね。

探偵のジェリコがいろんな手がかりをもとに瑶瑶を探す一方で、謎の殺し屋のケニー辛も彼女を探して動き始めます。

文量的なところで言うと、月面ツアー編は序盤の月に到着してから、終盤まであまり動きがないのが気になりました。その分終盤はほとんど舞台が月面になるのでトータルでのバランスは取れているのですが…。

中盤はほとんどジェリコとケニー辛の追跡劇です。ハラハラドキドキではあるのですが、「…月は?」と時々思ってしまいます。

なんとなくこのノンストップの追跡劇はダ・ヴィンチ・コードのシリーズを彷彿とさせますね。

また、月面ツアーと話が繋がってくるのもかなり終盤です。

カナダのパルスタイン暗殺未遂を調査するところはほとんどおまけぐらいの分量です。

パルスタインはもともと月面ツアーに招待されていた一人でしたが、直前で暗殺未遂に遭い一命は取り留めたものの宇宙旅行は無謀だということで地球に残っています。

その点では月面ツアー組との関連がかなり早期から明示されているのですが、各チャプター(数百ページ)の最後でちょっと動くぐらいでなかなか進みません。

あと、モノローグも長いですが会話シーンもとても長く、一人のセリフが長いときもあれば会話のラリーが延々と続くこともあります。

微妙に苦労したのが、ベタな感想ですが誰が喋っているセリフかわからなくなるという点です。

特に瑶瑶とジェリコの会話です。瑶瑶は女性なのですが、勝気なキャラを出すためか度々「〇〇なんだろ」みたいな男っぽい言葉遣いになっていてちょっと混乱します。

まぁ大体わかりますけどね。

社会派、SF、サイバーパンク、その辺りを濃密かつ圧倒的な文量で味わえる作品です。

読み終えた達成感もありますが、ドラマ1本一気見した感覚に近い没入感があります。

文章自体は爆速で読める、変なクセのない良い文章ですので、長編好きの方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

あまりにもたくさんの情報を浴びてしまい、まとまった文章としてアウトプットするのが大変でめちゃくちゃとっ散らかった文章になってしまいましたが、一旦こんな感じで…。

異常論文 を読んだ

以前の記事でもボロクソ言ってたのですが、ようやく読み終わりました。

kesumita.hatenablog.com

いまから感想を書きます。

ネタバレは特にしないと思います。というよりネタも何もないようなものなので…

結論だけ言うと、「自分には合わなかった」です。

どんな本か

国内のSF界隈によるアンソロジー?です。

「異常論文」になにかルールが設けてあるわけではなく、「異常論文と聞いて各人がイメージしたもの」ぐらいな感じに見えます。

だから論文の体を成していないとかそういう角度からのいちゃもんもつけられるのかもしれませんが、逆にバリエーションに富んでいて読んでて飽きなかったです。

ただ、「だとしてもこれはどうなのよ」ってのもあり、「いや、その辺りが『異常』ってことなんだよw」とドヤ顔で言ってきそうなところも含めてちょっとイラッとする面も否定できないです。

700ページ弱の大ボリュームなので、以降はいくつかピックアップして感想というか気持ちの整理をさせてもらおうと思います。

感想

全体を通して、個人的に面白いと思ったものはほとんど前半に固まっていたなぁと思います。

各作品の並び順に対するなんらか編者の意図のようなものは感じられたので、多分「前半におきたいもの」までが自分に刺さり「後半におきたいもの」は肌に合わなかったという感じなのかもしれないです。

あと、各著者の紹介でいちいち学歴を書いてたのはキモかったです。知らねーよ、と思いました。論文という体だからか?と一瞬思いましたが論文は執筆時点の所属機関までしか書かんしなぁ…。

気に入ったもの

まずは気に入ったものをピックアップします。

先ほども書いた通り、ほとんど前半の収録作品です。

決定論的自由意志利用改変攻撃について / 円城塔

冒頭に載っているやつで、どこかの宇宙のどこかの時代に起きた不可解な現象を考察した論文、という設定の作品です。 一番論文っぽく、ここだけを立ち読みして面白そうじゃんと買ってしまったんですよね。

論文っぽいと言ったのは、私が知ってる「論文」が理論物理に偏っている前提に立っての発言で、他の人がどう思うかは分かりません。

それっぽい数式が出てくるのが個人的に一番面白かったです。

式変形含め一応追えるんですが、それが何か新しい事実を提供しているわけではない、でもそこに対する物理的な考察がちょっとそれっぽくて楽しい、そんなやつです。

ただし慣れていないと本当にただの記号の羅列にしか見えないと思いますし、わからないひとは「何となくすげぇ」って楽しみ方になるんでしょうか?(単純にわからない)

掃除と掃除用具の人類史 / 松崎有理

文明を維持する上で避けられない「ゴミとの闘い」を文明の進歩とともに考察する小論文的なお話です。

古代のお話から近代、現代の自動掃除ロボットの話を淡々と説明しますが、文がとても良く、いかにも論文調でドライながらも時々想像したら笑ってしまうような状況説明があり、ニヤニヤしながら読めます。

世界の真理を表す五枚のスライドとその解説、および注釈 / 草野原々

タイトルの通りスライドが5枚あり、右ページにスライドの画像、左ページにその説明といった構成で、そこだけを見ると非常にコンパクトに読める気がします。

ですが、その説明内で未知の概念を大量に導入しているためそれを読んでも何も理解できず、ひたすら論文?の後ろにある脚注と本文の間を反復横跳びをすることになります。

その脚注もさらに脚注を必要としていたりと大半はそこを読むことに費やされます。

それが結構楽しい、という作品です。

アカシック・レコード / 柞刈湯葉

アカシック・レコードの逆ということで「この世界のすべての嘘が収録されている」という謎の実体の調査レポート、の体をとった作品です。

これも文が良くて読みやすいですし、知的な笑いがあるので良いです。

オタクの手垢に塗れたSCPとかいうプラットフォームに染まっていなくて本当によかったです。

解説−最後のレナディアン語通訳 / 伴名練

レナディアン語という架空言語で記されたアンソロジーの解説、という体の作品です。(もちろん本作品は日本語で書かれています)

最初はいかにも架空のアンソロジーの解説を(当然本文の方は載ってない)やたらに高い解像度で紹介している、という感じでその解説の中で「レナディアン語」なるものの紹介やそれを創始した日本人作家の紹介なんぞをしていきます。

ただ、途中から雲行きが怪しくなっていき最終的にはホラー?になっています。

他の作品が割と「異常さ」を前面に押し出しているためか読後感なんてないに等しいのですが、この作品だけはちゃんと読んだ後「あー…」と考え込む系の読後感があります。

この作品のあとにも「本来の(異常論文という作品に対する)解説」が別の作家によって書かれているのですが、この作品自体も巻末にある「解説」の体で書かれており、まずそれが面白いですよね。

気に入らなかったもの

ここからはただ罵倒するだけになるので、見たくない人は見ない方が良いですし、「なんてこと言うんだ!撤回しろ!」と言われても知りません。

SF作家の倒し方 / 小川哲

オタクの馴れ合い。

ここで初めて自分はこのアンソロジーがそもそもどう言った文脈のもとに存在しているか、つまり誰に向けたものかを理解しました。

実在の ”身内のSF作家仲間” を「裏SF界のメンバー」という設定にして、彼らの創作スタイルを説明しながらそこから「倒し方」を考察している作品です。

個人的な親交のエピソードであろう内容も含まれていて、本当にただの馴れ合いって感じでキツかったです。

これが先ほど紹介した「気に入ったもの」の多い作品パートが終わってだんだん作風に違和感を覚え始めたあたりに収録されているので、「あ〜違和感の正体はこれかぁ」となりました。

まぁ要するに自分はこの ”界隈” の身内でもファンでもなかったので、最初から読むべきではなかった、ということですね。失礼しました。

ベケット講解 / 保坂和志

これ、論文じゃないでしょと思いました。

なんか「ベケット」という人?の作品をの凄さを俺の優れた感性によってこんな特殊な見方で絶賛しちゃうぜ〜wっていう作品です。

ダラダラと手癖だけで書いたような鼻息の荒い文章は、ちょうど食べログでたまにある「ラーメン屋のイタいレビュー」みたいな感じです。

また、普通に「ベケット」って架空の話かと思っていたのですが、実在の作家さんなんですね。

知らなかったです。そんな感じでどこまでが事実でどこからが虚構なのか分かりづらいので、どのぐらい真剣に読めばいいのか分かりにくいです。

てっきり「存在しない作家の存在しない文学作品に対する自分(著者と別人格という意味ではこれも存在しない人間)の感想文」みたいなものと思っていました。 逆に本当にそうだったらもう少し面白く感じたかもしれない、とも思いました。

いや、最初はむしろ全部架空の話だと思って読んでたのですがどうやら実在の人物に対する内容らしいと知ってから、「本当にただのブログ」を読ませられている感覚になりとてもキツかったです。

場所(Spaces) / 笠井康平・樋口恭介

樋口恭介氏はこのアンソロジーの編者です。

なんか作家友達二人によるアイデア出し?みたいな会話を美化してポエムみたいにした作品?なんでしょうか。

端的に言ってなぜ掲載されているのかわからないです。論文じゃなくないですか?

彼らの思うSF小説風の文のスクラップをひたすら手癖で繋げてドン!と載せた感じです。とにかく文体がポエム調で自分に酔ってる感じが読んでてキツかったです。

無断と土 / 鈴木一平+山本浩貴

先ほども書いたように後半がかなり苦痛だったので読むのを諦めかけていたのですが、いろんなところで評判を見るとこの最終盤の「無断と土」が一番面白かった、とあり頑張って読みました。

編者による紹介文に「ボルヘスもゆうに超えていると言っても過言ではない」とまで言ってるのでさぞ凄いんだろうと思って読んでみました。

個人的な感想としては、「何言いたいのかわからなかった」です。みなさん頭いいんですね〜。

多分、最初に書いた文章に後から少しずつ難しめの語彙や言い回しに直したり、あえて遠い表現を使った比喩を途中途中にねじ込んだりする形で書いてると思います。想像ですが。

なので後から細工した感じが強く、ねじ込まれたであろう文節では(そこだけ浮いて見えて)目が滑りますし、細工されていないであろう箇所の文体や語彙は妙にカジュアルで違和感がすごいんですよね。

それも狙って書いてるってことですかね?これも例に漏れず「いや、あえてこう書いてるんですよw」っていう作者のドヤ顔が浮かんでくる系の構成で、読んでてキツかったです。

あえて何言ってるのかわからない奇妙な「論文」(?)を書きたかったのか、ちゃんと言いたいことや中身のストーリーはあるけど私の読解力が低すぎて理解できなかったのか、果たしてどっちだったのだろう。

あと、ちょくちょくイデオロギーを感じる記述があるのはなんなんですかね?

読む側としては特定のスタンスに立って読んでいるわけではないので、急にそのあたりの話題を持って来られると変に身構えてしまいますよね。

そして下手に評価すると場外乱闘に巻き込まれそうな気がして怖い。

その他感想

思ったのですが、やっぱりこの手の作品ではウィトゲンシュタインをやたら引き合いに出す人が多いですね。 まぁそれは良いと思うのですが、みんな例外なく論理哲学論考を意識したことしか言わないです。哲学探究の方もカバーすれば「みんなとは違うぜ」感が演出できるかもしれません。(「言語ゲーム」って単語を入れ込む人はいるかもしれない)

あとボルヘスの名前を出したり匂わせたりするのも定番ですね。

まとめ

今後、日本のSF小説をどういう目で見れば良いか、いろいろ考えるきっかけになりました。

おわり。